BILLION OILS FF-770
(FF/4WD/MR 機械式LSD専用 ミッションオイル)

ドラテク的に、FF 機械式 LSD は、「トラクションパーツ」である以上に、「曲げるために必要なコーナリングパーツ」となります。機械式LSDの役割をコーナー進入から順を追って解説すると、まず減速を伴うコーナーでは、止まるブレーキ（減速区間）から、ブレーキをリリースしながらコーナーに進入し、旋回（コーナリング）を行います。もちろん、この進入区間では、LSDは、さほど強く効いておらず、左右のタイヤに回転差が少し発生している状況となります。

そして、クリッピングポイント付近で、ほんの少しアクセルに足が乗った瞬間から、LSDは徐々にロックをはじめます（左右の回転差がなくなる状態）。このロックの始まりから、完全にロックするまでの間、どのようにロックの強さが変化していくかにより、クリッピングポイント付近にて、このクルマが曲がるか、曲がらないかが決まるのです。

では、どのようにロックするLSDが、一番、曲がってくれるのでしょうか？
それは、アクセルに足を乗せた瞬間、「ガツン」とロックするのではなく、優しくロックがはじまり、その後は、アクセル開度に応じてLSDのロック率がリニアに反応してくれることが理想です。また、ドライバーが、アクセルを踏む量で、ロック率をコントロールできると、LSDはFF車両のコーナリングにとって大きな武器となるのです。

もちろん、アクセルに足を乗せた瞬間、唐突にLSDがロックするようなピーキーな特性では、アンダーステアを誘発することとなり、なかなか「曲げる武器」として、LSDが活用できません。反対にロックが弱い場合や、ロックした後にエンジンパワーやタイヤのグリップに負けて、LSDのディスクが滑るような場合も、曲げる道具としては活用できません。

また、このロックの強さを的確にセットアップされた機械式LSDでは、アンダーステアが抑制されコーナリングに大きなアドバンテージとなりますが、ミッションオイルの特性によっても、LSDロックの強さやコントロール性は大きく変化するのです。なぜなら、アクセルONにより、LSDディスクが徐々に押し付けられる状況下で、LSDディスク間の潤滑性能と増摩擦性能のバランスにより、急激にロックするタイプも、マイルドにロックするタイプも、作ることができるからです。

なお、ミッションオイルの特性により、ディスク間のクリアランスを均一に保ち、摩擦抵抗がそろっている状況を作り出せれば、非常にコントロール性が向上し、アクセル開度によってリニアにLSDのロック率が反応する仕様となります。

このように機械式LSDにとって、ミッションオイルの特性は、ドラテク的にも、とても重要な役割を担っているのです。